見出し画像

歴史・文化・まちを活かし遺す(観光庁 歴史的資源を活用した観光まちづくり事業)


こんにちは。観光庁 歴史的資源を活用した観光まちづくりチームです。

日本全国には、その土地固有の長く引き継がれてきた歴史・文化を土台に形作られた景観・まちなみ・工芸等が存在しています。インバウンド含めた来訪者・その地域に住まう居住者双方に対して、適切にそれらを価値化・訴求し、地方に人の流れを作ることが、地方創生に繋がっていきます。

今年度、観光庁では「歴史的資源を活用した観光まちづくり事業」において、モデル地域の選出・コーチング支援やあるべき観光まちづくりの指標確立、歴史的資源の保存と活用の在り方の検討を通じて、地域の歴史・文化・まちを活かし遺していくご支援を行ってまいります。

これまでの取組を踏襲したうえで、地方自治体や地域金融機関、地域経営主体等の地域の方々やステークホルダーに対して、未来の指針となるような事業としていきたく思っており、今回はその第一弾として、今年度事業の概要を紹介していきたいと思います。

この記事は、こんな方に読んでいただきたいです!

  • 「地方創生」「まちづくり」という言葉にピンとくる方

  • 国の方向性を知りたいという方

  • サステナブル、エシカル消費などに興味がある方 など

最後まで読んでいただけますと幸いです!!!

歴史的資源を活用した観光まちづくりとは

歴史的資源を活用した観光まちづくりとは、


農山漁村を含めた地方に広く存在する古民家等の歴史的資源を分散型の宿泊施設やレストランなど地域再生の核となる観光資源として面的に活用、再生することで、観光を契機にした地方創生を推進し、まちづくりに寄与する取組です。 
富山県井波の街並み

日本全国には、地域固有の歴史・文化が存在します。
日本では小さな国土の中でも、異なる歴史・文化を有しており、世界的にも稀有な国です。その歴史・文化を背景に存在しているのが風景・ランドスケープとしての価値が高い歴史的な町並みであり、先人が受け継いできた貴重な資源です。

今、これらが失われつつあるのです。

地域の歴史的資源が失われてしまうと、そこに根付いていたその地域固有の文化や歴史が失われてしまうのです。

失われてしまう背景には、人口減少や地方部からの人の流出に伴う、地域での担い手不足や保存していくための資金面の課題など多くの構造的な問題が存在しています。

歴まちの誕生と背景

本取組は、丹波篠山の「集落丸山」や「篠山城下町地区」をはじめとして、全国各地で、空き家となっているような地域に残る古民家などをホテルやレストラン・カフェなどへ面的に改修・活用する取組が広まりました。2016年3月30日に「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定したこと受け、政府としてこの取組を推進していくため、2016年9月から5回にわたり、歴史的資源を活用した観光まちづくりタスクフォースを開催しました。

明日の日本を支える観光ビジョン


タスクフォースにて中間取りまとめを行い、民間の有識者を含む「歴史的資源を活用した観光まちづくり連携推進チーム」として、地域からの古民家等の歴史的資源の活用相談に対して、実際の活用推進を行っていく実行組織を発足させ、これまで計160程度の地域に対して、事業立ち上げの助言等を行ってきました。

その結果、以下の画像の通り、2020年には当初の目標であった200か所の取組展開を達成しました。
どんな事例があるかはこれからご紹介して参りますので、今後のnoteの記事を楽しみになっていてくださいね!

全国200か所の取組展開を達成!


また、歴史的資源の活用の概念が広がり、観光庁では、2020年からは城や社寺等の地域のシンボルである建築物を宿泊施設として活用する「城泊」や「寺泊」の支援を開始し、強力な観光コンテンツを地方部に開発することにより、地域の魅力をさらに向上させ、主に訪日外国人観光客の地方誘客を推進してきました。
 

今後の主要課題と方針


現在では、歴まちに取り組む地域として202地域の展開を達成しましたが、まだまだ課題も散見されます。
昨年度、観光庁にて実施しました「古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり推進における調査事業」内における有識者検討会において、今後の取組展開における課題として、以下の取りまとめを行いました。

■歴まち推進における課題

  1. 資源の活用 - 文化財等歴史的資源の利活用において、自治体による活用判断が困難

  2. 地域経営体制 - 地域経営主体としての機能不足。高付加価値旅行者への誘致、地域産業との連携及び地域経済・社会へのインパクトをもたらす事業への発展

  3. 金融・指標確立 - 地域における観光まちづくり事業開始・発展に伴う地域金融機関等の投融資判断指標の未確立。また、地域の経済・社会・環境に対する評価指標の未確立

  4. 情報発信・流通 - 文化財・古民家カテゴリーの観光のブランドの未確立、海外市場及びターゲットにおける認知の獲得 

このような課題を解決していくサポートをするため、観光庁では今年度も更なる取組・支援を行っていきます。


今年度事業の紹介

さて、これまでの取り組みを紹介して参りましたが、今年度の本事業の代表的な事業を紹介します!! 地域側への支援や環境整備のための調査事業など、更なる歴史的資源の保存・活用について、推進して参ります。

歴史的資源を活用した観光まちづくり事業


高付加価値化及び経済・社会波及効果拡大に向けたモデル創出
更なる高付加価値化及び経済・社会波及効果拡大に向けたモデル事例を創出するために、地域ならではの魅力ある歴史的資源を活用した観光まちづくり施策につながり、様々な地域への横展開へ繋げていくことができるよう、専門家の伴走と地域の二人三脚で行ってまいります。

目指すべき方向性については、コチラから参照してください!

高付加価値及び経済・社会波及効果拡大の考え方


城泊専門家派遣事業
城等の歴史的資源の持続可能な形での維持・保存に向け、城泊の活用の意欲のある地域へ専門家を派遣し、城の活用に向けた地域等との合意形成や助言等を行い、最終的には事業計画書の作成を目標に支援していきます。
 →城泊の専門家派遣に関する詳しい記事は城泊note②へ

エントリーを希望される方はこちらから


一般の参加者はこちらから(ZOOMでの開催です。一部現地もあり)

 
歴史的資源を活用した観光まちづくりに取り組み始めたい方へ 常時、相談窓口を開設しています。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kominkasupport/index.html

前述のような観光庁の予算事業とは別で、内閣官房として歴史的資源を活用した観光まちづくりを始めるための相談窓口を設置しています。
ご興味がある方は、以下の手順でお申し込みをお願いします。

歴史的資源を活用した観光まちづくり相談窓口
歴史的資源を活用した観光まちづくりを推進するため、内閣官房・観光庁等との連携による「歴史的資源を活用した観光まちづくり官民連携推進チーム」(以下官民連携推進チーム)が設置されています。

支援内容としては、①各省庁の支援メニューの紹介、②民間の専門家と連携し、現地視察、個別のアドバイスを行うコンサルティングです。

①各府省庁の支援メニューの紹介
政府の補助金などの支援メニューを省庁横断的にとりまとめ、ウェブサイトに掲載。官民連携推進チームへ相談いただければ、相談者の状況・課題に応じて各省庁の支援メニューを紹介しています。

②コンサルティング
地域ごとに異なる課題は多々あり、画一的な解決が難しい場合が多いです。そこで官民連携推進チームでは、歴史的資源を活用した観光まちづくりの専門家を直接現地に派遣し、自治体や民間事業者との対話を通じ、課題を解決する取組を行っています。  

■相談手順
官民連携推進チームHPから、相談案件シートをダウンロード
②相談シートに必要項目を記入の上、添付して送付
送付メールアドレス:gxb.mlit.go.jp(★を@に変更ください)
③ご相談内容を確認後、官民連携推進チームから連絡が入り相談詳細を確認

おわりに

歴史的なまち並みが失われてしまえば、そのまちの魅力は失われてしまいます。また、一度失われた文化は、二度と戻りません。歴史的資源の保存と活用を行うことで、地域の魅力を高め、経済効果にとどまらず、文化や歴史の継承の一助となります。 官民連携にて歴史的資源を活用した観光まちづくりを推進することで、地域の景観を保全しながらも、観光客の心を捉え、人の往来を興すだけの力を創ることができる。これからの地方創成の形であると言えます
日本中にある素晴らしい歴史や文化、まちを残し、それらを活かすことで観光を契機にしたまちづくりへ。ひいては、日本を観光立国へ押し上げることを期待しています。一つでも多くの地域が取り組むきっかけとなることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!